なべラボ

2008年冬のネットブック事情2

・2008年冬のネットブック事情の続きになります。

すべてのメーカのネットブックを網羅するつもりはないが、比較検討した機種には触れておきたい。Lenovoの「IdeaPad S10e」も検討した。
・レノボ「IdeaPad S10e」~ThinkPadとは異なるDNAのネットブック(PC Watch)
この記事のいいところは、他のネットブックとのベンチマーク比較が掲載されていることだ。ぜひ参考にしたい。
Lenovo IdeaPad S10e記事を読むと、6セル・バッテリで約1.3kg、Netbook U100 Vogueと同じくらいだ。キーボードは、CTRLキーとFnキーの位置が逆がいいが入れ替えできるかどうかは不明。タッチ・パネルは他のネットブックに比べ、使いやすそうだ。
弱点は、アスペクト比16:9にこだわって、せっかくの10.1型ワイド液晶なのに1,024×576ドットと、他のネットブックの1,024×600ドットに比べ、縦が狭くなっている。持ち歩くネットブックにとって画面サイズは要注意だ。なべはLOOX Uを持ち歩いていたときに、画面が狭く、その割に解像度が高すぎで、フォントや画面表示が見にくく、メールやWeb閲覧で困った記憶がある。店頭で各機種の液晶を見比べたが、8.9~10型のネットブックには、1,024×600ドットの解像度がいいと思う。記事の中でも、かなり狭くなった印象があると書いてある。ストレージは、160GB(2.5inch/SATA)のHDDで、記事を読むと内蔵HDD交換が楽だと書いてあるので、SSD交換も問題ないだろう。
・coneco.netでIdeaPad S10eの最安値店を検索する

発表会の記事では、このIdeaPad S10eは、ThinkPadの大和チームが開発に関わっているとしている。
・レノボ、ネットブック「IdeaPad S10e」発表会を開催
さすが、大和チームといいたいところだが、記事を読む限り、やりすぎという感がする。

ネットブックは大メーカにとっては諸刃の剣だ。デスクトップPCがデルの直販モデルで値下がりし、メーカの収益はノートPCが堅調だったはずだ。ところが台湾勢が進めたネットブックによって、大メーカがこぞってネットブックに参入してくると、既存ノートPCのクオリティでネットブックを作ったら、採算性が悪くなるだけのはずだ。如何に台湾勢に対抗して安く作るための工夫をしたか、ここをトレードオフしましたという発表なら納得するが、記事を読む限り、これでもかというくらいコストをかけて作ってますという印象しかない。

ネットブック製品の話しから大きく逸脱するが、ネットブックというのは台湾勢にとっては戦略製品だ。ASUS、Acer、MSIなどのネットブック各社は台湾のマザーボード・メーカとしての位置から、PCのOEM生産、EMSでのノートPC生産で力を付けてきた。世界の大手PCメーカのデスクトップPC、ノートPCの多くが台湾OEMという状態になり、日本メーカも主力PCの中身は台湾製という状態になってしまっていた。台湾勢が大手メーカに卸すのではなく、直接販売すれば安くなるのは道理だが、いくら安くてもブランドで売れない。それに、デスクトップPCやノートPCでは既存メーカと直接ぶつかり、下手をすると大事なOEMを失うことになってしまう。ネットブックという分野は、最新主力ノートPCよりスペックを大幅に落とし、その代わり安いという位置、2台目のサブ・ノートという位置からスタートした。
コスト構造については、ネットブックに限らず、BOMという部品構成リストを見ればいい。メイン基板はIntelからのリファレンスさえあれば台湾各社は自分達でデザインできる。筐体のケースも台湾には金型メーカが揃っている。最大のコスト要因だった液晶も台湾工場での生産が大きくなり、台湾が世界で一番安く調達できる状況だ。BOM上、馬鹿にできないのが、CPUや各LSI部品なのだが、OEM各社はこれもIntelから、大手メーカの受注分と合わせ、世界一有利なプレミアム価格で入手できる。
生産体制もOEMのラインが使えるので、東南アジアの安い工員を3シフトで世界一効率的にまわせる体制だ。
大手メーカとの違いは、サポート体制も含めた品質がある。ここを割り切って切り捨ててしまうか、コスト限定、できることだけにすれば、かなりコスト抑制ができる。それに比べ、大手メーカは既存ノートPCなどのサポート体制の中で同じコスト構造で、利益幅の少ないネットブックのサポートも行うことになる。サポートもコストの一部なのだ。
こうして見ると、台湾3社がネットブック戦略で来たのは、大手メーカが参入しても絶対に有利という世界戦略の上に立っていることがわかる。大手メーカがこれに対抗するのは自分たちのコスト圧縮をするしかなくなる。台湾ネットブック各社は、ノートPCのOEM客を確保しながら、ノートPCのシェアを奪い、自分たちにとっては利益率の高いネットブックという分野を創り出したのだ。

話しを元に戻そう、各社のネットブックの最新比較だった・・・。

なんで、ネットブックの話題なのに、ASUSTeKがないの?と言われそうなので書きます・・・。
ちゃんと検討していました。
「Eee PC S101」については、以下の記事が参考になります。
・ASUSTeK「Eee PC S101」製品版詳細レビュー(PC Watch)

Eee PC S101記事によると、Eee PC 901-Xの8.9型液晶に比べて、10.2型ワイド液晶になり、文字が見やすくなったと書いてあります。それは実は解像度が重要で、1,024×600ドットだからいいんです。記事では、1,280×768ドットにすればいいのにと書いてありますが、そうしたらフォントなどが小さくなりすぎで見難くなります。表示フォントを大きくすればいいというのは実際にやってみればわかりますが、調整がうまくできません。 <訂正>8~9型クラスは1,024×600ドットがちょうどいいですが、10型クラスは1,280×720~800ドットがちょうどいいです。記事の指摘の通りです。ちょうどいい大きさってあるんです。それは解像度が重要な要素だと、店頭で実際に触って見てみるとわかります。なべの場合は、LOOX Uの経験が生きています。S101は画面サイズより、明るさが問題で、実際に見ると「暗いかなー」という印象が強くなりました。
キーボードもタッチパッドも使いやすそうです。
ストレージは専用SSDで、高速化されているし、サードパーティから32GBや64GBの容量のSSDがリーズナブルな価格で販売されています。最新の2.5inch SATA SSDをどうしても使いたい人(なべのことかー!)以外は、ストレージで不満になることはないでしょう。(プチフリ問題はないんだっけ?未確認)
バッテリがカタログ値で約4.6時間なので必要十分くらい?な印象。
S101の最大の特徴は、薄さとデザインだ。一時期、どうしても欲しい!(笑)と思ったが、しばらく我慢していたら画面の暗さが気になるようになり、2.5inchのSSDを搭載できない点など、無理やり弱点を作っていくことで、購入を思い止まることができた。そのくらい魅力的な機種であることは間違いない。なにしろ多機種より1万以上高い。不況の折、コスト要素は重要だ。
以下の記事では、Eee PC 901-Xなどとのスペック比較もあり、参考になる。
・Eee PC S101に心底惚れたワケ(ASCII.jp)
まさしく、S101は惚れて買うのにふさわしい機種だと思う。(画面が明るければ、なべも絶対買っていたな・・・)
画面の暗さなどについては以下のレビューが参考になる。
・“華麗なるミニノート”――ASUS「Eee PC S101」の真価を問う(前編)(ITmedia)

・coneco.netでEee PC S101の最安値店を検索する

ASUSは他に、Eee PC 1000H-XとEee PC 901-Xが有力なのだが、以下の記事が比較記事として参考になる。Eee PC 1000H-Xはかなりポイント高いと思っている。
・Eee PC 1000H-X速攻レビュー(PC Watch)
・coneco.netでEee PC 1000H-Xの最安値店を検索する
・coneco.netでEee PC 901-Xの最安値店を検索する

ネットブックではないので、外した機種として、デルの「Inspiron Mini 12」がある。
・Atom搭載モバイルノート「Inspiron Mini 12」ファーストインプレッション(PC Watch)

Inspiron Mini 12液晶が12.1型なので、この機種はネットブックではない。同じInspironシリーズでもMini 9に比べて大きく、価格も9万円以上なので、ネットブックの購入の選択からは外れてくる。ただし、ネットブックのスペックの中でどうしても譲れないスペックが出てくると、候補リストに入ってくる1台だろう。筆者の場合は、大きさでNGだ。持ち歩いて外で使うシーンを考えると、電車移動が多いので、膝の上でタイピングできるのか?という判断がある。12型以上の液晶のフットプリントだと辛いはずだ。

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